中森明菜/Cross My Palm
中森明菜のこの1曲。
そういうことであれば、今のぼくなら「ミ・アモーレ」を挙げる。
しばらく前なら「デザィア」だったような気もするが、きっとほとんど日替わりで、気分によってちがうことを言っていたにちがいない。
だが、この1枚ということになると、87年の発売当時から今に至るまで、一貫してぼくにははこの『Cross My Palm』がベストである。少数派だろうとの自覚はある。全曲英語だし、ヒット曲の類はひとつもない。だからこそというべきだろうが、タイトな演奏と抜けのいい音に支えられた、醒めた統一感にこの1枚は支配されている。
これをもって、少女とも大人ともつかぬ魅力を漂わせていた中森明菜は、はっきり大人の女性の領域に踏み込んでいく。この魅力、お子様にはわかるまい。
2002.11 |