ザ・スタイル・カウンシル/カフェ・ブリュ

たとえ一時の衝動の産物であっても、うまく時代と切り結んだその刹那、ひときわ美しく輝くことはある。ただ、それを持続させたり、さらに光り輝こうとするなら、それなりの裏打ちが必要だ。

パンクの出現とそれ以降を俯瞰したとき、ぼくはそんな思いにとらわれる。とりわけ、ジャムからスタイル・カウンシルに至るポール・ウェラーの軌跡を見ていると。

などという御託は、この作品の比類なき美しさの前ではおそらくなんの意味も成さない。そこで聴く者はただ浸ればよいのだから。ただ身を任せればよいのだから。あとは深くため息をつき、背もたれに沈み込んでしまうのだ。コトバなんぞに出る幕はない。

2002.11