キャメル/ライヴ・ファンタジア

78年のリリース時には大きな意味があったのかもしれないが、今となっては「スノー・グース」をそっくり演奏されてもうれしくないし、「レディ・ファンタジー」についても同様だ。

などといってしまうと、ぼくはキャメルのあまりいいファンではないのかもしれない。しかし、それでもこのライヴ・アルバムをわざわざCDに買い換えてしまう原因は「ネヴァー・レット・ゴー」にある。この曲が、この演奏こそが、今も昔もぼくにとってキャメルの最高傑作なのだった。

ライヴならではの各パートごとのソロが、これほどスリリングに熱気を保ったまま引き継がれていくのをぼくは他に知らない。ドラム・ソロでダレるだろ、ふつう。サックスを絡めたキーボードからベース、ドラム、ギターと続くここでのそれは、しかし、時間的にも見事な抑制が効いて飽きさせない。どころか、徐々にヒートアップしていくそのさまは、まるで火の玉が手から手へとリレーされているかのようだ。ひとりの手のなかでそれはさらに熱さを増し、次へと手渡されるのだ。これがスリリングでなくてなんだ。

どのジャンルからも距離を置いて語られることの多いキャメルだが、この演奏をもって、ぼくはプログレ・フュージョンと彼らを呼ぶことにしたのだった。

2004.02