クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング/4ウェイ・ストリート

曖昧な記憶によると、「ミュージック・ライフ」誌上において、71年だか72年だかの読者が選ぶ年間ベスト・アルバムの栄冠に、この2枚組ライヴ・アルバムは輝いていたはずだ。読者の多くが中高生だったろうことを思うと、彼らの音楽的嗜好の渋さには感心するしかない。ぼくはといえば、そんな彼らの後を数年遅れで歩いていく存在でしかなかった。

ニール・ヤングから遡ってここにたどり着いたぼくには、やはり「カウガール・イン・ザ・サンド」が鳥肌モノだ。当時も今も、そのイントロだけでぐっとこみあげてくるものがある。そこにヴォーカルがかぶさり客席がどっと沸くさまには、いつも背筋が寒くなる。これが戦慄というやつだろう。

熱いコーラスからフェイド・インして、4人のメンバーがそれぞれ主役を務めるアコースティック・セットを経、興奮のエレクトリック・セットに至り、最後は再び生ギターを手に取りそっと「自由の値」で締める構成は憎いの一言。ライヴの王道のひとつの確立をここにみる。ロック・シーンを代表するライヴ・アルバムとして今も数えられるのもむべなるかな。

2004.03