トーキング・ヘッズ/リトル・クリーチャーズ

「ストップ・メイキング・センス」の映像作品としての素晴らしさは認めつつも、トーキング・ヘッズのアフロファンク路線にはずっとなじめないでいた。そんなぼくが一転、最も好んで聴くことになったトーキング・ヘッズ、85年の6作め。

のどかなカントリー・フレイバーになごむ「クリーチャーズ・オブ・ラヴ」、タイトなレゲエがよく効く「レディー・ドント・マインド」、力強くひたすら突き進む「ロード・トゥ・ノーホエア」、これがアルバムの3本柱。アルバム・ヴァージョンとはミックスや収録時間を変えた12インチ・シングルなるものが全盛だったこの時代、その3曲ともぼくは買ってしまった覚えがある。いつまでも浸っていたかったのだ、その音に。大好きだったのだ、この時期のヘッズが。デヴィッド・バーンが。ティナ・ウェイマスが。

そうとも。ここでのバーンの歌声の力強さは特筆ものだ。「ロード・トゥ・ノーホエア」に最も顕著な、鞭をくれるようなその勢い。そして、それを支えるリズム隊のふんばり。これはもう、一緒になって足踏み進むしかないではないか。たとえそれが、どことも知れぬ場所に向かう長い道のりだとしても。

これ以降、ぼくはヘッズに付き従うことになる。

2004.11