シン・リジィ/ライヴ・アンド・デンジャラス

このライヴ・アルバムで、ぼくは初めて彼らを知った。
すでに8枚ものスタジオ作品がリリースされており、後にいくつか後追いしてみたりもしたが、ライヴの音と熱気を先に知ってしまったぼくに、それらはしかし繰り返し聴くには値しないものに成り下がっていた。

それほどにこの作品は出色だった。ライヴ・バンド、シン・リジィの魅力がここでは余すところなく伝えられているのである。よどみなく熱気を孕むこの演奏はどうだろう。これでもかと畳み掛けてくるこのノリはどうだろう。「ダンシング・イン・ザ・ムーンライト」や「それでも君を」といった代表曲をスタジオ作と比べてみれば、それは一耳瞭然だ。

この『ライヴ・アンド・デンジャラス』がロック史上屈指のライヴ・アルバムであることはまちがいない。断言する。離散集合のあげくバンドが解体していたり、リーダーが故人であることとは関わりなく、リリースから四半世紀を経て、それはなお燦然と輝いているのである。

2003.12