PARACHUTE/from ASIAN PORT

パンタ & HALへの参加で一躍名をはせた今剛を、松原正樹と共にツイン・リード・ギタリストとして迎え、脇を固めるのは林立夫、斉藤ノブといった名うてのスタジオ・ミュージシャン。しかも紅一点が元フライング・ミミ・バンドの小林泉美ときては、これはもう聴かずにはいられないではないか。時あたかもフュージョン全盛の80年代初頭とあってはなおさら。

しかし、歌心のあるメンバーの存在が、このバンドをただのフュージョン枠にはとどまらせなかった。チャイニーズ・テイスト溢れる「KOWLOON DAILY」、波間にたゆたう異国の歌姫を描ききった「JASMINE」といった歌モノを聴いてみるがいい。そしてそれらを導き、あるいは事の顛末を暗示するかのようなインスト・ナンバー、「MYSTERY OF ASIAN PORT」と「MIURA WIND」の存在はどうだ。伏線にして対比でもあるその構成の見事さは。

けっして演奏テクニックに溺れることのない、歌心と構成力の勝利を、ここにぼくは見るのであった。

2002.11