パーランマウム/we are PARANMAUM

女子高生が文化祭でブルーハーツのコピーバンドを演るという映画「リンダリンダリンダ」。そのサウンドトラック盤とは別に、劇中バンドであるパーランマウム名義で出された6曲入り。

劇中歌である「リンダ リンダ」、「僕の右手」、「終わらない歌」の3曲はサントラとは異なる録音、映画に使われていない他の3曲は松本隆と白井良明による新作、そしてそのすべてでヴォーカルを取っているのはペ・ドゥナ。結局ファンは両方買ってしまいそうだが、映画を観、ペ・ドゥナの歌に感じ入ってしまった者に、これはサントラ以上のマストアイテムかもしれない。

映画の見どころが韓国女優ペ・ドゥナの演技に集中しているように、パーランマウムの聴きどころも彼女のヴォーカルひとつにある。音痴ではないというだけでうまい歌では全然ない。ノリでごまかすことができない「ソンのバラード」などに至っては、はっきり下手っぴぃな歌だ。しかし、母国語ではないゆえの発音のつたなさと素直な発声は、思いもよらない相乗効果を生み出す。それは彼女の意図するところではまったくないだろうし、自身の歌の威力を彼女が理解することもないだろう。これは、これだけは日本人リスナーにしかわからない。そんなペ・ドゥナがブルーハーツを一途に、そして力強く歌う。非常にそれは雄弁なのだった。

ちなみに、パーランマウムとは、ブルーハーツすなわち「青い心」の韓国語訳。「終わらない歌」については好みの分かれるところだが、「リンダ リンダ」はより伸びやかで香椎由宇のやけっぱちなコーラスもいいサントラ盤、「僕の右手」は裏声に逃げないこちらパーランマウム盤に軍配が上がる。ファンなら両方所有したくなる所以である。

2005.10