ポコ/シマロンの薔薇

歴代ベーシストを次々とイーグルスに持っていかれたポコのメンバーの心境を訊いてみたいものだった。そして、再結成されたイーグルスのベーシストがなぜランディ・マイズナーではなく、ティモシー・シュミットだったのかも。

というわけで、息が長く数多いポコの作品中にあって、おそらくは最も人気があると思われる『シマロンの薔薇』。ラスティ・ヤングのA面、ポール・コットンのB面、それらの合間を縫うようにティモシーの作品が1曲づつ入るという構成だが、そのわずか2曲の存在によってぼくはティモシーに注目し始めたのだった。なぜなら、軽く明るく乾いた曲が続くなかで、その2曲こそが名盤とも言われるこのアルバムに潤いと奥行きをもたらしているように感じられたからだ。

そんなティモシーが『ホテル・カリフォルニア』以降の苦悩するイーグルスに参加し、「言い出せなくて」のヒットを生んだことは半ば必然だったようにも思われた。それはしかし、やはりうがったものの見方というべきだろう。ここは素直にタイトル曲でもある「シマロンの薔薇」の名曲ぶりを堪能すべきなのだ。「スロー・ポーク」の調べに浮かれるべきなのだ。そして、フィドルとペダルスチールの響きに身をゆだねるべきなのである。

2002.11