サンタナ/天の守護神

なんとイントロの長い曲だろうと、欧米ポップスに親しみ始めたばかりの中学生は思ったものだった。深夜のラジオから「ブラック・マジック・ウーマン」が流れるたびに。そのオルガンの音色にかぶさるように、何通ものリクエスト葉書が読まれていたが、サンタナについて知るのはその1曲のみで、ぼくはまだ「オエ・コモ・バ」も「サンバ・パ・ティ」も知らなかった。

高校に上がった年、8つ年長の従兄弟からこのアルバムを譲られると、それらの曲はたちまちぼくのギター練習の課題曲と化した。もちろん、到底追いきれるものではなかったが、かっちりとか、小ぎれいにとか、器用にとかいった、「まとまる」にかかるような形容とは無縁のほとばしるようななにものかが、たどたどしくも同じフレーズをなぞることで共有できるような気がしたものだった。

この時期のサンタナには、きっと音楽の神が宿っていたのだと思う。そして音楽というもの自体、そもそもそうした経緯で我々の前に提示されてきたのではなかったかと、今聴いてもまったく色あせることない彼らの曲を前にそう思うのだ。

2002.11