サザン・オール・スターズ/ステレオ太陽族

イロモノだと思ってた。
「勝手にシンドバッド」で賑やかにお茶の間に乱入してきたサザンのことを長らく。
「いとしのエリー」を聴いてもなお、一発屋と呼ばれる人たちに顕著なように、誰だって生涯に名曲のひとつぐらいは作れるものだと思ってた。

そんな頑固で、どうやらサザンを認めたくなかったらしいぼくが初めて「おっ?」と思ったのが3枚めの『タイニィ・バブルス』。そして、ついにこれは本物だと観念せずにいられなかったのがこの4作め。「My Foreplay Music」「素顔で踊らせて」「夜風のオン・ザ・ビーチ」と続く3曲に、ぼくはノックアウトされたのだった。

「My Foreplay Music」はヴォーカルが出る以前に勝負がついてしまうほどの性急な格好よさ。一転、「素顔で踊らせて」はシルクのような感触でひたすら心地よく響き、「夜風のオン・ザ・ビーチ」ときたら気だるげにしてイナセな得がたい風情。

さらには小粋なタイトル曲「ステレオ太陽族」、名作の誉れ高い「栞のテーマ」まで含まれているとあっては、ぼくが茅ヶ崎に移り住んだのがまさにその年だったということを抜きにしても、これは記憶に残る1枚というものではないか。ジャケットの意図が不明で不気味だが(笑)。

2003.07