ショッキング・ブルー/アット・ホーム
ショッキング・ブルーといえば、69年の全米ナンバー・ワン・ヒット「ヴィーナス」を含むこの作品がデビュー・アルバムだということに一般的にはなっている。だが実際はそれ以前の男性ばかりの4人組時代に、何枚かのシングルと1枚のアルバムを残しており、後者は「ヴィーナス」人気に便乗して国内盤も出たほどだった。
だからこの『アット・ホーム』は、女性ヴォーカリスト、マリスカを擁した新生ショッキング・ブルーが、オランダから一躍世界に打って出た記念すべき作品といった方がより正しい(ついでながら、マリスカの姓であるVERESはヴェレスと濁らず、フェレスと発音することが初来日時に判明したという)。
カバーされるたびにヒットを記録し、いまだにテレビ番組などで使われ続ける「ヴィーナス」については改めて説明するまでもない。しかし、モーニング娘。の大ヒット「LOVEマシーン」がこの曲を下敷きにしているのは明らかだし、ジューシィ・フルーツが「カリフォルニア・ヒア・アイ・カム」と「ロング・アンド・ロンサム・ロード」のフレーズをちゃっかり引用していたことからも、ショッキング・ブルーのキャッチーさがわかるというものである。この時期、それはまだ多分に実験的にすぎるきらいはあったとはいえ。
蛇足ながら、日本においてこの作品は、本来なら裏にあたる右の画像にジャケットを差し替え、タイトルも『ヴィーナス』として発売された。日本人のセンスとしては当然の配慮であろう。
2005.02 |