ショッキング・ブルー/サード・アルバム

早々にベスト・アルバムが出たり、シングルがヒットするたびにそれをメインにした大同小異の編集盤が出たりで、日本ではとてもそのままのタイトルでは出せなかったのだろうショッキング・ブルーの、その名もズバリ『サード・アルバム』。

邦題は『悲しき恋心』だが、そのタイトル曲にしてからが本来の収録曲ではなく、オリジナル盤冒頭の「ショッキング・ユー」と差し替えられてのもの。シングルのヒット時期との絡みもあって、そういう日本独自の判断がなされていたのだ。

が、20数年を経てCD化されたこの作品には、そんな事情を知ってか知らずか、いや、もちろん知りはしないだろうが、ボーナス・トラックのひとつとして「悲しき恋心」も入っている。そのため、往年の国内盤愛聴者にも大きな違和感はない。

ここでのショッキング・ブルーは、ギタリストがひとり増えた5人編成。しかし、音の厚みが増したようには全然聴こえず、かっちりまとまりすぎた感があるが、それでも後半、「楽園の鳥」、「ムーンライト・ナイト」と続く印象的なメロディーがいかにも彼ららしい。独自の判断が好きだった日本のレコード会社にこれらをシングル・カットするという考えがなかったのが不思議なくらいだ。

2005.03