ショッキング・ブルー/ライブ・イン・ジャパン

71年の来日ステージの模様が収められた、ショッキング・ブルー唯一の実況録音盤。

日本では発売順が逆になったが、先に録音されていたサード・アルバムでは5人に増えていたメンバーがここでは4人に戻り、最小編成での極めてオーソドックスな演奏が展開されている。

不足分の音を補うように小器用に弾いてみせるギタリストの奮戦ぶりには感心しつつも、キーボード抜きの「ヴィーナス」には切れ味がないし、ハーモニカのない「悲しき鉄道員」は哀愁に欠け、アレンジを変えてみたところでバンジョーのない「グッド・サリー」は平坦にすぎる。

そんな物足りなさは確かにあるのだが、だからなおさらヴォーカリストとしてのマリスカの存在が光ってくるというわけだ。その歌声は、ベスト・テイクであるはずのスタジオ・レコーディングとなんら遜色ないばかりか、「プア・ボーイ」、「タバコ・ロード」といったあたりでははるかにそれを超えた出来栄えともなっている。

ショッキング・ブルーの成功は「ヴィーナス」のヒットを契機としはしたが、マリスカ・フェレスという類まれな歌い手を得た時点でそれはすでに約束されていたのだろう。そんな思いを強くしてしまう、マリスカ・オン・ステージ・アルバムだ。

2005.05