ショッキング・ブルー/インクポット&アティラ

日本のみでの発売だったらしいライブ盤を除くと通算4作めとなる『インクポット』と5作め『アティラ』(邦題「ロック・イン・ザ・シー」)がカップリングされたこのCD、さらに7曲のボーナス・トラックが含まれ、計31曲と一見大盤振舞いのようではあるが、そのどれもが2分30秒程度であっさり終る曲ばかりで、いささか愛想に欠けるのだった。というよりも、バンドとしての衰えをはっきり感じさせるというべきか。

そんな威勢のなさの第一の要因は、リーダーのロビーひとりに頼りきってきた作・編曲面でのアイデアがそろそろ枯渇してきたこと。加えて、ベーシストの交代による演奏面での弱体化。前者についてはどんなバンドも避けて通ることのできない問題だろうが、後者にはちょっと許しがたい憤りさえ覚える。こんなにもうねりのない、平坦でつまらないベースをぼくは他に知らない。前任者のうまさが改めて偲ばれるのである。

というわけで、このカップリングCDには聴くべきところがさしてない。ただ、『アティラ』収録の「あの娘をはなすな」は72年の発売当時からファンの間では評判のよかった曲で、今もベスト・アルバムにその名を連ねている。

2005.06