スウィングガールズ/オリジナル・サウンドトラック

吹き替えなし、出演者が実際に演奏しているのが話題となった映画「スウィングガールズ」のサウンドトラック。ミッキー吉野による、この映画のために作られた生ギター主体のナンバーも当然収められてはいるが、誰がそれを聴きたいだろう。メインはあくまでも総勢17名のスウィングガールズ (&ア・ボーイ) によるビッグ・バンド・ジャズである。

映像を伴わないその演奏が、もっさりとしてキレがないことは一耳瞭然だ。しかし、映画での演奏シーンがにわかにサマになってくる「メイク・ハー・マイン」、おそらくジャズでもスウィングでもなく、勢いだけで押してくるようなこの曲がぼくにはなんとも愛おしい。それはハイライトの「メキシカン・フライヤー」、「シング・シング・シング」についても同様で、往年の名演と呼ばれるものよりも、コンパクトにまとまったスウィングガールズ版の方がおもしろいと言ってしまえるのは、ぼくがジャズに関して門外漢である上に、音楽それ自体よりも居並ぶセーラー服にクラクラしているせいなのだろうか。

そんな聴く者、あるいは段取りした者の思惑を超え、はっきりしているひとつのことは、彼女らが非常に幸せな演奏者であるということだ。その一点で、ぼくはスウィングガールズが羨ましい。上野樹里が、水田芙美子が、羨ましくてしょうがない。

2004.11