ニール・ヤング/アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ

当時の高校生の多くがそうだったように、「孤独の旅路」でニール・ヤングを初めて知った。そこから『ハーヴェスト』に至り、CSN&Yの『フォー・ウェイ・ストリート』を経て遡ったのが、名作の誉れ高いこのソロ3作め。

『フォー・ウェイ・ストリート』で圧巻だった「サザン・マン」や「ドント・レット・イット・ブリング・ユー・ダウン」が収められていることに当初は気をよくしたものだったが、改めて聴き返すと、「サザン・マン」のギターなどは独創的とか個性的とかいった範疇を超えて、不思議というか、はっきり変だし、「ブリング・ユー・ダウン」にしても、妙な性急さがこのスタジオ録音盤からは感じられ、間を聴かせるような『フォー・ウェイ・ストリート』におけるライヴ演奏に軍配を上げざるを得ない。

しかしながら、オープニングを飾る「テル・ミー・ホワイ」の珠玉ぶりは今も色あせることなく、ぼくの胸を高鳴らせるのに十分だ。ここで多用されるハンマリング・オンに、ギター少年としてのぼくの数年は凝縮されていると言い切ってしまいたい衝動に駆られるほどに。

そうなのだ。わずか2分54秒のこの「テル・ミー・ホワイ」をはじめ、1分17秒の「ティル・ザ・モーニング・カムズ」、1分34秒の「クリップル・クリーク・フェリー」といった小品の輝きが、ぼくには今も眩しいのだ。そして、切ない。たまらなく。

2003.11