MARY BLACK/NO FRONTIERS

アイルランドの名門ともいうべきデ・ダナンへの参加で頭角を現したメアリー・ブラックの日本での知名度を不動のものとしたのが、89年にリリースされたこのソロ4作め。
地元での記録的な好セールスにより翌年には国内盤も登場し、あっさり来日まで果たしてしまった。いわゆる外タレのなかで、実は最も多くの回数、ぼくがそのステージに接した人でもある。

とにかく声がまろやかだ。そんな声の持ち主が曲にも演奏にも恵まれたのが本作だ。売れないわけがないのである。けっして派手さはないが、聴くほどにじわじわと味の出る曲たちは、懐の深さを感じさせる演奏ともあいまって、まさに大人のためのものだった。

静かなコンガを聴いてほしい。跳ねるベースを聴いてほしい。切ないアコーディオンを聴いてほしい。その全編に重なる声を聴いてほしい。これが音楽というやつだ。これが名盤というものなのだ。

2003.12