蔡可茘/福建 2 IN 1

「2 IN 1」といえば蔡可茘の代名詞ともいえるほどに、長きにわたってシリーズ化されたその第1作。クレジットがないが、Vol.2が93年に出ていることから、92年の作品だと考えてまちがいはないだろう。それはまた、蔡可茘のつたない進撃が始まった年だったともいえよう。

さて、「2 IN 1」とはなにかというと、曲調の似た2曲をメドレーにし、1曲で2度のおいしさを狙ったものである。が、単純に2曲を繋がるだけでなく、そこかしこで入り乱れさせるあたりが醍醐味で、これがうまく機能すれば3度4度とおいしい思いをすることも可能なのだ。オリジナルについての知識があれば、おそらく聴く楽しみは倍増するのだろうが、でなくとも、これによって中華圏におけるスタンダード曲についての理解は一気に広がっていくだろう。

そんな試みが始まったばかりの本作品、「金包銀+相欠債」、「愛人跟人走+不想伊」といったあたりがぼくのお気に入りだったりするが、それは原曲のよさに起因することであり、「2 IN 1」ならではの魅力が花開くまでにはまだ時間が必要なのだった。

2002.07