蔡可茘/福建 2 in 1 vol.2
その演歌臭がときに恥ずかしくもある「2 in 1」の第2集。
メドレー・シリーズとしての魅力はまだ発揮されずにいるが、特筆すべきは橋幸夫の「雨の中の二人」のカバー。おそらくはプロデューサーである張平福の趣味なのだろう。それがなんの違和感もなく他の中国曲と並んでいるあたりが、福建歌謡の福建歌謡たる所以ともいえる。
この時代の日本の曲を彼が手本としているらしいことは、全編にわたってのアレンジやギターのフレーズ、音色からも推測される。それをクサいと感じるか、懐かしく面白いと感じるかが評価の分かれ目となるだろう。クサいがしかし、ぼくにはけっこう面白い。
ちなみに、初めてぼくの記憶に登場する歌謡曲は橋幸夫の「潮来笠」だったりする。父親が三波春夫や畠山みどりを好んで聴いていたことも、ぼくが福建歌謡に傾倒していったこととけっして無縁ではないはずだ。音楽とは、聴く者のルーツを問うものでもあるのだなぁとしみじみ思う。
2002.09 |