JIM FITZPATRICK'S ERINSAGA

完全なるジャケ買い。
なんの予備知識もなく、誰がどういう音楽をやっているんだかもわからず、画集を買うような感覚で買ってしまった。にしてはイラストの点数があまりにも少ないが、ほら、裏ジャケはこうだ。ケルト模様と錦絵っぽい配色がそそるではないか。

さて、タイトルに名を冠されたジム・フィッツパトリックが何者かというと、音楽家ではなく、このイラストの作者である。としたら、やはりこの音楽作品のもととなる、ケルト神話を題材にした画集かなにかがあるはずで、ぼくはむしろそちらが欲しい。

ライナーによると、この作品は夭折したフィル・リノットに捧げられたものだという。そこでもしやと思って見てみると、彼が率いたシン・リジィの代表作『ブラック・ローズ』のジャケットも、このジム・フィッツパトリックが描いたものだった。

なるほど、そういう人脈なのかと感心しても、しかし、誰一人として知った名のないメンツによる演奏は、89年のリリースが信じられないほどタイトさに欠け、70年代のB級バンドの香りがぷんぷんだ。そこだけがかすかにシン・リジィを思わせもするのだが。

ただ、ヴァレリー・アームストロングなる女性歌手は、かの地にはありがちだがなかなかの美声の持ち主で、ぼくはイラストとともにそこにすがりついてしまうのだった。

2002.09