MYLENE FARMER/AINSI SOIT JE...
ファルメールだとは思いもしなかった。ファーマーだとばかり思っていた。
だから、フレンチポップスのコーナーがちゃんと別にある店なのにもかかわらず、イギリスとアメリカだけが洋楽扱いされている棚を必死になって探していたのだ。
そうなのだ。 探している曲がMYLENE FARMERという女性のものであることを、どこかでぼくは目にしたはずだったのだ。なのにぼくときたら、ファーマーというアメリカ人だと信じて疑うことをしなかった。だったら、MYLENEはなんと読んでいたかというと、ミ…ミレ…マイ…むにゃむにゃ、とかなんとかお茶を濁していたのだろう。その程度の語学力しかぼくにはない。
ひとしきり悩んだあげく、必ずしもそれは米国人の名前だとは限らないと悟ったぼくは、虱潰しに他のコーナーを見て回った末にようやくこれを、ミレーヌ・ファルメールの『AINSI
SOIT JE...』を手に入れることができたのだった。
そうまでして追い求めた曲、それが「SANS CONTREFACON/サン・コントルファソン」。ラジオから流れてきたのを初めて聴いたそのときから、10数年を経た今に至るまで、この曲はぼくを魅了し続ける。1回聴いただけで絶対に覚えてしまえるそのリフレインは、まさにポップスの王道ながら、フランスならではのメロディーだとも感じられる。
そんなとき人はこう言うことになっている。
ふむ、極上のフレンチ・ポップであるな、と。
2003.07 |