チャン・ユンジョン/第2集 チャンチャラ

トロット。日本でいうところの演歌。
韓国ヒットチャートの1位にそのトロットが躍り出たのは、実に12年ぶりだったという。快挙を成し遂げたのは新星チャン・ユンジョン。デビュー曲で一気にスターダムを駆け上がった彼女の、2005年5月リリースの第2作がこれ。

このジャケットで演歌なのかとまず驚く。恥ずかしくなるほどのド演歌は、タイトル曲を含めいくつか確かにありはする。が、そんな枠だけに収まりきらない曲の存在がこれからのトロット・アルバム、ひいては新たな大衆歌謡のあり方を示しているように感じられる。

例えば、主旋律だけをとってみれば立派な演歌ながら、およそそれらしくないモダンなコーラスが大陸風のアレンジともあいまって新鮮な4曲め「花」。あるいは、その存在がアルバム全体に大いなる締まりをもたらし、これをただのトロット・アルバムで終らせることをしなかったソリッドなヒップホップ、12曲め「力を出して」。
ジャケットはけっして嘘偽りを喧伝しているわけでないのだ。

で、最後にタイトル曲「チャンチャラ」についてであるが、25歳のユンジョンがなぜかセーラー服を着て踊るプロモーション・ビデオを観たとき、もう許す、すべて許すから好きにしてという気にぼくはなってしまったのだった。

2005.06