小鳳鳳/新年打鑼鼓
小鳳鳳の名を一躍知らしめた出世作。
大手外盤店に「南洋華人」なるコーナーまで設けさせてしまったのは、ひとえにこの作品によるものだった。それほどのインパクトがここにはあった。
タイトル曲を聴いてみるがいい。京劇と見まがうばかりの中華な打楽器と、爆竹らしき乱れ打ち。それらすらねじ伏せてしまうかのような張りのある声。時代錯誤なまでにベタな旋律。なんだこれはと目をむくこと必至である。そして忌み嫌うか、ずぶりとハマッてしまうか、聴いてしまった者にはふたつの選択肢しかありえない。その衝撃を前にして、無関心でいることなど到底できはしないのだ。小鳳鳳がここで呼び起こすのは、紛うかたなきアジアの血であり、それは確かにぼくらのなかに息づいているのだから。
なお、左のジャケット写真は93年初頭に出回ったカセットテープのもので、ブームに火がつくには日本語による解説が付いたCDが国内配給される94年末を待たねばならなかった。カセットとして通販でしか手に入らなかったものが、CDとして店頭に並んだそのことは快挙と言わねばならないが、しかし、右のそのジャケットは明らかに見劣りし、早い時期からのファンを自認するぼくとしてはちょっと容認しがたいのであった。
2003.09 |