キム・ヒョンジョン/HIT FOR SIX

以前に第3集を聴いたときはピンとこなかったキム・ヒョンジョンだが、ぼく好みのノリとメロディで迫ってくる、2003年リリースのこの第6集はお気に入りの1枚だ。

好みのノリとはずばりポンチャックノリであり、好みのメロディとは一聴してそれとわかる、いかにもな韓国的旋律をいう。が、この作品は安易で低予算なポンチャックなどでは全然なく、韓国第一線のれっきとしたダンス・ミュージックである。でありながら、ほのかなポンチャックノリを感じさせ、アメリカナイズされながらも韓国ならではのメロディがそこかしこに顔を出すあたりがぼくには非常におもしろい。

キム・ヘヨンあたりがお得意のポンチャック・メドレーに織り込んでも違和感がなさそうな曲がずらりと並ぶなか、バネのあるスプリンターの走りを思わせるキム・ヒョンジョンの歌唱力がそれにも増して素晴らしい。腰があり、タメがあり、爆発力がある。実にスケールの大きな歌手ではないか、これは。以前にも聴いていながらぴんとこなかっただなんて、いったいどんな聴き方をしていたんだと、ぼくはちょっぴり反省してみるのだった。

2004.05