MARWA/IDAK

レバノンに生まれ、エジプトで活動するマルワの、おそらくは3作め。

この歌唱をコケティッシュと受け取るか、あるいはブリッ子と断じるかは意見の分かれるところだろうが、2曲め「Yakhti Camila」に顕著なエグさのインパクトは相当なものだ。この曲、微笑ましい子供たちのコーラスを従えながらも恐ろしく下世話な仕上がりとなっていて、ぼくなどがぎゃははと笑い転げてしまう一方で、下品さに顔をしかめてしまう人も少なからずいるだろうことは容易に察しがつく。

が、マルワの音楽性をこの一点に集約させるのはいささか早計というもので、5曲めの「Motreb Hambolli」はイントロからテーマまでアラビックな煽りに満ちて格好いいことこの上ないし、どこかで聴いたような9曲め「Don't Do This」はクールでお洒落で、シャーデーなどにも通じる聴き心地のよさを持っている。そしてラストの「Ta'Ta' Dom Dom」。タタドンドン! 日本にドドンパ、エジプトにタタドンドン。そんな喜び方をぼくはしてしまうのだった。

ちょい聴きではそのエグさにばかり気を取られてしまいがちだが、音頭でラテンで歌謡曲で、妖しくエキゾなアラビア語。ぼかぁ、こういうのが大好きだ。

2005.05