MAXIMA/БОМБА
「最も知られたブルガリアの音楽」というとき、往々にしてそれは「唯一知られたブルガリアの音楽」と同義だろうが、その回答はいわずと知れたブルガリアン・ヴォイスである。というか、その名のもとに集約される女声合唱団である。しかし、そこで発せられる例の声からも、取り上げられるような曲からもおよそ関係のなさそうなところに、この3人娘マクシマはいる。つまり、モダンで汎欧州的なポップ・コーラス・グループということになる。
各曲を通してベースにあるのはどうやらユーロ・ビートらしいが、南欧あり、ラテンあり、フュージョンあり、果てはトム・トム・クラブを髣髴とさせるものまである曲調はまさに多岐に渡る。そんななかでぼくのお気に入りは、往年のアラベスクを思わせるディスコ・ビートに乗った2曲め。のれるぞ、これは(笑)。そして、追い討ちをかけるような性急なコーラスにぞくっとくる3曲め。
この、コーラス自体にぞくっとくるというところが、実にコーラス・グループとしての彼女らの力量を物語っているといえよう。そんな思いで改めて聴くと、ポップさとビートによって隠されていたものが見えてくる。彼女らもまたブルガリアン・ヴォイスを生んだ国の歌い手たちにちがいないと。
2003.05 |