メースイ/スン

インドシナ半島一帯の女性歌手には声に艶のある人が多いが、ミャンマーの国民的歌手であるメースイもその埒外ではなく、むしろ代表格というべきだろう。

そんな彼女の、これは最もポップス色の強い1枚。というのは、ジャンルに囚われることがないという国民的歌手の条件を、彼女も満たしているからだ。伝統音楽から演歌、ロック、カントリーといった具合に。

だから、ポップス色が強いこの作品のなかにあってもそれなりの振幅はある。ロック風や演歌風といった曲が妙にあっけらかんと同居しているのだ。それらの共通項は無垢さである。日本の歌謡界がどこかに置き忘れてきたものだ。

そして、あるときふと気づく。それこそがミャンマーらしさなのだと。

2002.01