MIKE OLDFIELD/OMMADAWN
「エクソシストのテーマ」としての方が通りのいい「チューブラー・ベルズ」の時代から、マイク・オールドフィールドはしばしばぼくを悩ませてきた。どういう文脈で語ったものか。その結果、マギー・ライリーの話題に終始するなどというのは最もよくあることだった。
というわけで、一筋縄ではいかない男の75年の作品。パート1と2とに分かれた36分のこの大作は、しかし、パート1の12分28秒経過後の3分ほどと、まったく独立したラストのトラッドめいた曲に集約されるだろう。
特にアフリカン・ドラムに導かれる前者の呪術的な雰囲気は鳥肌モノだ。リズムによるところが大きいのだろうが、ゲール語であるらしいコーラスがそれに一層拍車をかけている。秘密のヴェールを1枚1枚剥ぎ取り、より深いところへと聴く者をいざなうかのようなこの部分、エンドレスで流されたりするとぼくなどはすっかり洗脳されてしまいそうで怖い。
そして、牧歌的という表現はよく聞くが、では牧歌とはなにかと考えるとき思いつくのが後者。長い組曲の最後を飾るという配置の妙が、他愛のなさそうなこの小品にさらなる魅力を付加している。
2002.09 |