OI KATON/NAMTAA LE PHROMAJON

土着的なロックを聴かせ一世を風靡したバンド、ガトーン生え抜きヴォーカリスト、オイの2002年作ソロ・アルバム。発音しづらいタイトルは「涙と操」を意味するという。裏ジャケに見られる顎の線が確実な年輪を感じさせるが、柔らかく愛くるしい歌声は往年のままときているから、まったく胸キュンものである。

そして、丁寧に紡がれた旋律の数々。
どこか懐かしく、じわじわと涙目になって、ふと明日を信じる気になれるような楽曲。控えめでアコースティックな演奏に支えられたそれらを、大切な子供を送り出すかのような愛でくるんでオイは歌う。

ラスト、10曲めを聴いてみるがいい。
見えないか、夕焼けに染まる帰り道が。聞こえないか、夕食の時間を告げる母の声が。感じないか、民族を超え言語を超えた大きな愛を。実に感動的じゃないか。極めつきの美しさじゃないか。

ガトーンから10年。オイの至った高みをここに知る。

2003.06