SCARLET RIVERA/SCARLET RIVERA

75年にボブ・ディランのバックを務め一躍名を馳せたヴァイオリニスト、スカーレット・リヴェラの77年のファースト・ソロ・アルバム。

「ハリケーン」の再来を期待しているといきなりのフュージョン的展開に驚かされたりもするが、基本はやはり泣きのジプシー・ヴァイオリンにある。その名もズバリ「Gypsy Caravan」が11分にも及ぼうかという長さで、42分全6曲のアルバム中核に据えられていることでも明らかだろう。

長すぎるきらいはあるし、高らかに歌い上げる男声ヴォーカルはぼくの好みではないが、その始まりと終わりは、初聴きから何年たっても、何度聴いても、ぼくの胸を熱くさせる。すすり泣くような音色、まさに哀愁と呼ぶにふさわしい旋律。ディランの「ハリケーン」で小出しにされていたもののすべてが、これでもかとばかりにここに収められているのである。

2005.02